【インタビュー】TDKのウェアラブルセンサが導く、ヘルスケアIoTの未来~TDK株式会社 宮本浩二氏に聞く~

センサを利用して、小売店舗内での顧客の行動データを可視化するには

あらゆる業種にIoTが広がる中、アパレルなどの小売店舗を持つ企業の多くでは、実店舗での顧客の行動をデータとして取得する方法を模索しているといわれます。

オンラインショップでは顧客の行動データ、例えば、購入前にどのページを見ていたかといった情報を見ることができます。しかし実店舗では来店客の一連の行動をデータとして取ることはできません。そこで、店内の何が顧客の心を動かしたのか、顧客が購入前に何を見ていたのかといった、店舗における顧客の行動情報をIoTの仕組みを用いてデジタルデータとして取得することへのニーズが高まっています。

「今やウェアラブルセンサの形は、リストバンドだけではありません。小型化も進んでいますから、もし店を訪れた顧客に違和感のないような形で位置情報を取得できるデバイスを渡すことができれば、店内の回遊状況は把握できますね。」(宮本氏 談)

取得した位置情報を店舗内に設置した何らかの中継装置まで飛ばせる程度のごく小さな電力であれば、店内照明の光などから発電することも技術的には可能とのこと。さらに、生体センサ機能を併せ持つセンサデバイスを利用することができれば、位置情報と照らし合わせることで、顧客がどの商品を手にした時に興奮を覚え、店内で起きたどんな出来事が購入に結びついたか、といったこともわかるようになるといいます。

今後、店舗内で取得したデータを既存のオンライン、オフライン双方の顧客データに付加することができれば、より立体的な顧客理解が可能となっていくことも夢ではなさそうです。

高付加価値を生む、複数センサの情報の統合処理ができるデバイスが基本に

宮本氏によれば、IoT事業の成功の秘訣は「IoTを通じて集めたデータを『価値あるデータ』にすること」にあります。

「IoTを活用した事業では、私どもTDKのようなデータを集めるデバイスを作る側と、事業を企画して目的に合致するデータを集積するサービスプロバイダやプラットフォーム、そして集まったデータを分析する専門家の三者が連携する必要があります。特にデータ分析ができる専門家はなくてはならない存在です。

集積したデータは、そのままでは単なるデータの集まりです。専門家が分析することによって、データを理解し、それを活用していくことが可能になります。そして、集めたデータに高い価値が生まれてくるのです。」(宮本氏 談)

TDKでは、健康増進、見守り、生産効率等の改善・維持を推進していく上で、ウェアラブルセンサを重要なキーデバイスとして位置付けています。

「ウェアラブルセンサは、単純に取得したデータをクラウドのデータベースに送るだけではなく、組み込まれた複数のセンサから得たデータを統合的に処理できる高度な情報処理機能を実現することで、単一のセンサからは得られない高い価値を生むことができます。そういった付加価値を提供できるようなデバイスを今後も提供していきたいと考えています。」(宮本氏 談)

IoT化は今後もさまざまな領域で進み、さらにこの動きが加速していくことが予想されます。

生体センサデバイスがさらに進化し、人々の様々な営みや心身の状態がデータ化されていくことで、今後ヘルスケア領域において新たなサービスや画期的な研究成果が生まれていくことが大いに期待できそうです。

text/Yukie Liao Teramachi

【関連リンク】
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