【インタビュー:ハーバード流人材育成に学ぶ】後編:ビジネスマンに不可欠な「Being」とは。

(※ハーバード・ビジネス・レビュー特任編集委員 山崎繭加氏)

世界有数のビジネススクール、ハーバード・ビジネス・スクール(以後HBS)は、金融危機と創立100周年をきっかけとして教育改革を実施。2011年から従来の「ケース・メソッド」による知識(=Knowing)教育に加え、新たにチームで世界各地におもむき実践的な活動をする(=Doing)「フィールド・メソッド」がプログラムに組み込まれました。そこで重要視されるのは、自分自身を深く知る(=Being)という意識の面での成長です。

HBSが日本の東北で開催する教育プログラム、ジャパンIXPは、参加する学生の心を大きく揺さぶり、彼らの「Being」に影響を与えています。このプログラムの運営に深く携わり、その内容を著作「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」にまとめられた、元HBS日本リサーチセンターのスタッフで、ハーバード・ビジネス・レビュー特任編集委員の山崎繭加氏にお話を伺いました。後編は、HBSの学生たちのジャパンIXPでの学びから、全てのビジネスマンに不可欠な「Being」について考えていきます。

【前編はこちら】https://bwrite.biz/archives/16187

お話を伺った方:ハーバード・ビジネス・レビュー特任編集委員 山崎繭加氏

ジャパンIXPの人気の理由の1つは「自身の貢献が実感できる」こと。

-山崎さんが2016年までその運営に深く携わったジャパンIXPは、HBSの数々の素晴らしいプログラムの中でも特に人気が高いとお聞きしています。なぜこれほど評価を得ているとお考えですか。

山崎繭加氏(以下、山崎氏):IXPというのは、「Immersion Experience Program」の略語で、「どっぷり現場に浸かって経験するプログラム」を意味します。2005年にハリケーン・カトリーナで大きな被害が出た際に、被災地でボランティア活動を行いたいという学生が自主的に企画する体験型のプログラムとして生まれました。その後、2012年から単位が出る正式な授業となり、毎年いくつかの国を舞台に開催されています。

その1つが、東日本大震災をきっかけとして始まった東北での「ジャパンIXP」です。もちろん他のIXPも素晴らしいのですが、6年連続で開催されているのはジャパンIXPだけです。その理由は、参加した学生たちがこのプログラムに対して、毎年最高ランクの評価をつけ続けているから。HBSでは、すべての授業に学生たちが評価を行いますが、ジャパンIXPは毎年満点だと聞いています。

評価が高い理由のひとつに、他のプログラムとは全く違う経験が出来ることがあります。ジャパンIXPは、社会貢献の部分が強調された、事業と社会との関係が学べるほぼ唯一のIXPなのです。

ジャパンIXPでは、毎年必ず何らかの形で学生が現地に貢献できるプログラムが用意されており、2つの柱として、現地企業へのコンサルティングと視察・ボランティア活動が行程に組み込まれています。ボランティア活動の中に毎年入れているのが、東北での学校訪問で、HBSの学生が東北の中高生と交流します。こういった現地の若い世代との交流が出来るIXPは他にはありません。

自分たちとの交流を通じて、日本の東北に住む中学生・高校生たちの人生が少しだけど変わる。自分が30分しゃべった相手が、人生についての考えを変える。そんな経験をする機会はHBSの学生でもそうありませんから、とても強いインパクトが残るようです。

また、指導教授であるHBS唯一の日本人教授、竹内弘高先生のお人柄も重要な点です。まるまる2週間、朝から晩まで学生に付き合って、その経験を忘れられないものにする。その情熱とコミットメント、そして指導力は本当に素晴らしいと感じます。

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