乗っ取り編集長企画!進化するメルセデス・ベンツUSAのInstagramマーケティング

メルセデス・ベンツUSAが、2014年にはじめたデジタルマーケティングキャンペーン「MBPhotoPass(MBフォトパス)」。ミレニアル世代へのリーチを目的にはじめた画期的なマーケティング手法は、ソーシャルメディアを通じて「自然な成り行き」でブランド認知を高めることに成功しています。

SNSを「驚き」が生まれるメディアに

人気ブロガーや編集者にメルセデスベンツを貸し出し、大胆にも一時的にInstagramやFacebookの編集権を渡してしまうというユニークな試みである「#MBPhotoPass」。それぞれのテーマで自由に演出することができ、そこから生まれる「偶然」や、過去のブランドイメージをいい意味で払拭する「驚き」を作り出しています。

特にInstagramでの成功が顕著で、メルセデス・ベンツUSAのアカウント「@mbusa」は、現在140万人のフォロワーを誇ります。

昨年SNSに関する世界的な成功を表彰する「第8回ショーティーアワード」のInstagram部門で表彰されている#MBPhotoPass(※1)。表彰の理由として「Instagramの影響力を最大限に引き出し、高級車ブランドの<多様性>を表現することに成功している」と挙げられています。

女性目線のインフルエンサーが登場

ところで、これまで登場してきたインフルエンサーの多くは、男性のカメラマンや冒険家などで「男性目線」が目立っていました。しかし、昨年2016年11月にこれまでとは毛色の違う、女性インフルエンサーが登場しました。

Automotive News(※2)によると、メルセデス・ベンツは、2020年までに女性が選ぶ高級車のNo.1を目指し、顧客の30%を女性にしたいと考えています。そのためデジタルマーケティングを通じた女性ファンの取り込みは、急務の一つと考えられます。

そのような中で9回に渡り編集権を託されたのは、女性スタイリストであり、フォトグラファーでもあるティファニー・ミッチェル。親友のサラとともに、DIY関連のブログやレシピなどを載せた「Offbeat & Inspired(オフビート&インスパイアド)(http://offbeatandinspired.com)」というライフスタイルサイトを運営している彼女は、20万人以上のInstagram(https://www.instagram.com/tifforelie/)フォロワー数を誇ります。

テネシー州のナッシュビルを中心に、自然光の温かみが感じられる写真を得意とするティファニーが切り取る日常は、その美しさが特徴です。今回の企画でも、米国南部ののどかな自然と、古き良き米国のアットホームな生活で彩られた写真が2日間にわたりアップされました。ファッションやホームファーニッシングまでスタイリングをこなすティファニーだからこそ、「車」というテーマに対しても、独特の視点で描ききった写真がInstagramからあふれ出ることとなりました。 

今回ティファニーは、E300の最新モデルとともに、米国南部ナッシュビル周辺のロードトリップを写真に収めています。もっとも「いいね」数を稼いだのは、2枚目にアップされたティファニーがE300のボンネットに乗ったセクシーな一枚。17,800人以上の人がその写真に「いいね」を付けました。

また4枚目の写真は、「ラグジュアリーランチ」をテーマに、乗り手のライフスタイルを切り取った一枚。写真には内装のディテールが映し出され、その高級感が一目で伝わる写真だったこともあり、14,000のいいねを獲得しています。

(元画像出典:https://www.instagram.com/p/BMUngFylCEg/ 
※赤枠は編集部による追記。#MBPhotoPassの投稿には、冒頭に必ず「mbusa 〇/〇 I #MBPhotoPass I @〇〇」という定型キャプションを記載するルールとなっている。)

#MBPhotoPassは、SNSユーザーが自由にハッシュタグとして使うことも可能です。しかし@mbusaのアカウント上で、公式に選ばれた編集者が#MBPhotoPassに写真をアップする場合には、Instagramのキャプションに通常のキャプションとは違い、「mbusa 〇/〇(投稿番号/投稿予定数) I #MBPhotoPass I @〇〇(アカウント名)」という表示が記載されます。これにより、#MBPhotoPassを使った一般ユーザーの投稿や、@mbusaが別の目的でアップする写真との差別化を図っています。

数字的な成功に裏付けられたマーケティング

メルセデス・ベンツUSAは、独自の視点でソーシャルメディアをオウンドメディアとして捉え、シェア(リツイート)という形で編集を加え、ブランドイメージを拡散しています。

さらに、リーチ率の高いInstagramを筆頭に、Facebook、Twitter、Youtube、Pinterestといった各ソーシャルメディアを、「ハッシュタグ」使いで横に繋げつつ、各インフルエンサーに最も適した媒体を与えることで、その能力を最大限に生かしているのです。

現在Instagramフォロワー数グローバルが840万人、米国は140万人を誇る同ブランドは、米国でスタートしたこの#MBPhotoPassキャンペーンの成功が、ブランドそのものの認知度アップに貢献しています。

またADWEEKの取材(※3)によれば、2016年8月現在で、グローバルアカウントは、1日5-7回のアップした写真(または動画)に、平均5万~10万のいいねが届くという反応の良さです。

影響力の高いキャンペーンを続けられるのは、総合的なデジタルマーケティング方針がしっかりと見えているからこそ。長期間同じキャンペーンを行うことで、さらに内容を進化させている点も、高級ブランドらしいどっしりと腰を据えた戦略が垣間見られます。次世代への掛け渡しを目的としたデジタルキャンペーンとして、非常に大きな成功例と言えるでしょう。

■関連URL
Mercedes-Benz USA Instagram :https://www.instagram.com/mbusa/
Tiffany Mitchell Instagram:https://www.instagram.com/tifforelie/
Offbeat & Inspired:http://offbeatandinspired.com

■参考資料
(※1)http://shortyawards.com/8th/Mercedes-Benz-Photo-Pass
(※2)http://www.autonews.com/article/20160606/RETAIL03/306069992/can-mercedes-be-women
(※3)http://www.adweek.com/digital/5-instagram-tips-mercedes-benz-which-gets-superb-engagement-platform-170485/

text/Yukie Liao Teramachi

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