世界中にファンを作る!ANAのSNSの担当者に聞く、海外向けSNS戦略の秘密【マーケティングの現場から】

(※全日本空輸株式会社 ANA マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 HELEN SHUMさん)

今年、国際線定期便就航30周年を迎えた、ANA(全日本空輸株式会社)。日本最大の国際線ネットワークを持つ航空会社として、世界各地のユーザーとエンゲージメントを構築しています。海外ユーザーに向けて運営されるSNSは、そのための強力なツールです。SNSで、海外ファンと継続的なつながりを築くコツとは? ANAで、海外ユーザー向けSNSの運営を担う、マーケティング室 マーケットコミュニケーション部のHELEN SHUM (ヘレン サム)さんに伺いました。

【インタビュー】
全日本空輸株式会社
ANA マーケティング室 マーケットコミュニケーション部
HELEN SHUM (ヘレン サム)さん

海外向けSNSの役割は、「日本の航空会社」である「ANA」を知ってもらうこと。

現在、Facebookをはじめとして、Twitter、Instagram、LinkedInなど、複数の海外向けSNSアカウントを運営されている、ヘレンさん。特にFacebookでは、広くヨーロッパ圏・アジア圏のユーザーに向けた英語版の「グローバル」アカウントと、現地語で「香港」「台湾」それぞれの地域のユーザー向けに運営するアカウントの、4つのアカウントを担当されています。今回は、Facebookについてのお話を中心に伺いました。

-ANAではFacebookで、国内向けのアカウントと、海外向けアカウントを運営されています。海外向けSNSの運営では、特にどのようなことを意識されているのでしょうか。

海外ユーザー向けSNSの第一の役割は、認知向上です。日本と異なり、海外ではANAという会社の存在そのものが知られていませんから、まずはANAという「日本の航空会社」の存在を、認知させることがもっとも重要です。そのため、アプローチの仕方がまったく異なります。

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たとえば、同じ「飛行機の写真」を使ったコンテンツでも、国内向けでは、飛行機好きのANAファンに楽しんでいただいてつながりを深めるため、海外向けでは、「航空会社」であることをイメージ付けるため、と、狙いが異なります。そのため、同じ素材を使った場合も、投稿するテキストは、それぞれで変えています。

また、インバウンドを意識して、海外のユーザーに「日本への旅行」の魅力を伝えることも、役割のひとつとなっています。

現地スタッフとの連携でローカライズ!地域ごとの感覚に合ったコンテンツを投稿。

-ANAというエアラインを知らない海外ユーザーにアプローチするために、具体的には、どのような方法を取っているのでしょうか。

海外向けを開設した当初、国内向けのコンテンツを翻訳して掲載していたのですが、良い反応は得られませんでした。今では、コンテンツの地域ごとのローカライズは必須となっています。

その際もっとも重要なのは、現地のユーザーがどう感じるか。ですから、『現地の感覚』を知る現地スタッフの声を、非常に重視しています。コンテンツの企画では、制作に入る前になるべく現地スタッフに意見を求め、現地で通用する企画かどうかを確認しています。

以前は日本にいながら、1人でグローバルなコンテンツを作っていましたが、限界がありますね。今の私自身の役割は、世界中のスタッフから情報を集めて、取捨選択して戦略に落とし込む、コーディネーターだと自認しています。

「日本旅行」に求めるものは、ヨーロッパでは「伝統」、アジアでは「新しさ」。

-ANAでは、いくつかの国や地域でSNSアカウントを運営されていますが、同じ海外ユーザーといっても、地域によっての違いはありますか。

大いにあります。「日本への旅行」の魅力をアピールするにも、ヨーロッパのユーザーと、アジアのユーザーとでは、求めているものが大きく異なります。

ヨーロッパユーザーは『トラディショナルな日本』のイメージを好み、古き良き日本の景色、たとえば京都のようなコンテンツに強い反応を示します。一方、アジア系の国々のユーザーは、『新しい日本』を好み、最先端のトレンドや、アートやアニメなどのカルチャー、買い物に関連するコンテンツに反応する傾向があります。

Facebookのグローバルアカウントは、ヨーロッパ、アジアという異なる地域の幅広いユーザーがターゲットですが、全ての人が反応するコンテンツは作れません。そのため、各投稿ごとにメインターゲットを設定する戦略を取っています。たとえば、アート系の次はトラディショナル系というように、バランスを見て投稿しています。

【トラディショナルな日本の景色】
Miniature Travel:A lovely little trip to ~ Hiroshima・Iwakuni ~

https://www.facebook.com/flyworld.ana/videos/10153905958495536/

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(※日本各地の空港や観光地を巡る様子を望遠レンズで捉え、早回し映像にすることで、まるでミニチュアの世界のように見せている。)

【日本のアート×東京観光】
TAKESHI’s Tokyo Time

https://www.facebook.com/flyworld.ana/posts/10154650947930536

(※粘土クリエーター・デハラユキノリさんの作品を使用したシリーズ。外国人旅行者を模した粘土人形が、東京の観光地を巡る。)

ファンに反応をもらえるコンテンツで、Facebookのアルゴリズム変更に対応。

-ここ数年で、SNSの運営に大きな影響を与えたものの1つに、度重なるFacebookのアルゴリズム変更があります。Facebookのアルゴリズム変更には、どのように対応されていますか。また、Facebookでのユーザーの反応を見る際に何を重視されていますか。

アルゴリズムの関係で、ただ投稿するだけではユーザーにリーチしません。そのため、ファンから強い反応が得られるコンテンツを、より一層意識しています。ユーザーの反応をきちんと得られるよう、クオリティの高い動画や画像を、海外アカウント向けに独自に制作しています。

今、ユーザーからの反応で、もっとも重視しているのは「アクション」ですね。ANAのコンテンツを、コメント付きで友人たちにシェアしてくれているユーザーの声からは「この投稿を友だちに教えたい!」という、非常に高いエンゲージメントが読み取れます。また、情報を拡散させるためには、シェアしてもらうことが必要です。

ユーザー注目のトレンドをいちはやく導入。7月には「Facebookライブ」で中継。

-SNSは流行の移り変わりが非常に激しいですが、最近のトレンドはどういったコンテンツなのでしょうか。

最近はやはり、動画です。その中でもFacebook上でリアルタイムに動画を配信できる「Facebookライブ動画」がユーザーからとても注目されています。

Facebookグローバルアカウントでは、この7月、「Facebookライブ」を使って、初めて世界に向けてリアルタイム動画配信を行いました。中継したのは、ロンドンで開催されたイベントで行われた、4機目となるスター・ウォーズ特別塗装機の世界初お披露目(※)です。

ユーザーはライブ動画に臨場感を求めていますから、ANAらしさが演出できて、そのうえ、新しい、リアルタイムで中継できるコンテンツが必要です。その点このイベントは、世界の人たちとリアルタイムで観るのにふさわしいニュースでした。

SNSは、ツールや機能の変化がとても早いです。コンテンツの制作では、何が今一番ユーザーに注目されている機能なのかを把握して、いち早く取り入れていくことが、大事だと考えています。

(※)スター・ウォーズ セレブレーション2016にて新特別塗装機を発表@ロンドン
https://www.ana-sw.com/detail/?id=58

【Facebookライブ動画】
スター・ウォーズ特別塗装機(4機目)初披露

https://www.facebook.com/flyworld.ana/videos/10154357275565536/

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-Facebookのグローバルアカウントでは、動画のほか、多くのGIFアニメや、画像などを独自に制作して公開されています。その中で、反応がよかったのはどういう作品でしょうか。

クリスマスやハロウィンなど、世界共通のシーズナルイベントのものや、ジャパンカルチャーのものは、反応がいいですね。

シーズナルイベントの投稿では、どこかで「ANAらしさ」を表現する工夫をしています。たとえば、ただサンタを出すだけでも、クリスマスを感じさせることは可能ですが、昨年のクリスマスのコンテンツでは、サンタにコーポレートカラーの「青」の服を着てもらい、さらに空港のANAのカウンターに並んでもらいました。

今年はハロウィンシーズン向けに、ダルマを使ったGIFアニメを制作しました。オレンジと青のカラーリングや、ダルマの顔をジャック・オ・ランタンにするなど、新鮮な驚きのある作品に仕上げています。とても反応がいいですね。

【シーズナルイベント:2015クリスマス】
https://www.facebook.com/flyworld.ana/photos/a.398388510535.176636.43613800535/10153828667450536/?type=3&theater

【シーズナルイベント:2016ハロウィン】
https://www.facebook.com/flyworld.ana/posts/10154654769640536

Halloween

継続して触れるSNSで、世界に向けたブランドイメージを確立させる。

-最後に、SNSを通じてのブランディングについてお伺いします。ANAでは、他社との差別化において、SNSをどのように役立てていますか。

ブランディングは、常に意識しています。テイストやクオリティの統一のほか、特に意識しているのは、コーポレートカラーの「青」を使うことと、「エアラインらしさ」、そして、コンテンツの内容が、これまでにはない新しさを感じさせる「革新的(イノベーティブ)なもの」であることです。

ANAには冒険的な風土があり、社内でもチャレンジ精神のある、ユニークな企画が歓迎されます。SNSで「革新的」な部分を見せていくことで、ANAの常に新しいことにチャレンジしていく姿勢、アクティブなかっこよさを、世界に伝えて見せていきたいと考えています。

SNSの投稿1つの影響力は小さいものですが、最近のユーザーは、毎日スマ―トフォンから継続してコンテンツを見ています。日々の投稿が積み重なった時、その影響力はパワフルです。毎日見ていただきたいですから、ユーザー目線で見て、飽きがこないよう、バリエーションも工夫しています。

ANAは日本では、海外向けのSNS運営で他社に先行しています。その強みを生かして、ANAの魅力を伝えるコンテンツを、継続的に海外に向けて発信していくことで、ブランドイメージを確立していきたいですね。

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日本を代表する「世界の翼」として、広く海外に向けて日本の魅力を伝え続ける、ANA。革新的であることをコーポレートアイデンティティに掲げ、未来へ進み続ける前向きな姿勢は、SNSで発信されるコンテンツにも反映されているように感じました。

■ANA(全日本空輸株式会社)公式サイト
https://www.ana.co.jp/

■Facebook :All Nippon Airways(グローバル:ヨーロッパ、アジア向け)
https://www.facebook.com/flyworld.ana/

■Facebook :ANA.Hong Kong(香港向け)
https://www.facebook.com/ana.hongkong/?fref=ts

■Facebook :ANA.全球(台湾向け)
https://www.facebook.com/ana.ch.traditional/

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