英マークス&スペンサーのクリスマス商戦は、動画とSNSとの連動が決め手! 

マークス&スペンサーのキャンペーン動画効果とは?

毎年11月下旬になるとイギリスでは、華やかなクリスマス商戦が開始されます。街中には、各店舗による趣向を凝らした広告があふれ、1年の最後を締めくくるイベントをいやが上にも盛り上げます。財布のひもをゆるめても構わないこの時期、人びとの購入意欲をさらにそそるような、魅力的な広告が目立ちます。

こうした広告の中でも、クリスマス・キャンペーン用に動画を用い、上手く訴求している事例が多くみられるようになりました。Youtubeの配信によるキャンペーンを、上手に展開している企業の代表が、マークス&スペンサー社です。

マークス&スペンサーはイギリスを代表する小売店ではあるものの、素朴で庶民的なデパートという印象がありました。しかし、動画配信とSNSの連動作用に徹するようになってから、すっかり洗練されたイメージが民間に定着したといわれています。

▼マークス&スペンサーの外観。
(昨年のコンセプト「Magic &Sparkle」は、Marks&Spencerの頭文字と連動している。)

たとえば、昨年2014年度のクリスマス商戦のコンセプトは、Magic & Sparkle (マジック & スパークル)でした。直訳すれば「魔法とキラキラの輝き」になりますが、2人のフェアリーが空を飛びながら、町の人びとの願いを次々に叶えていくという夢のある内容になっています。

<参考:2014年のキャンペーン動画>:
https://www.facebook.com/MarksandSpencer/videos/10152640755403612/?fref=nf

動画コンテンツの内容と、SNSでの情報発信方法がポイントに

以下に、ひとつのデータ(※)があります。これは、マークス&スペンサーの昨年のキャンペーン動画を見た人びとの心理的な変化についてのデータです。

(※)出典元:
The 12 Plays Of Christmas: The Really Early Guide On How To Create The Perfect Festive Ad (Part 1)
https://unruly.co/blog/article/2015/08/18/the-12-plays-of-christmas-the-really-early-guide-on-how-to-create-the-perfect-festive-ad-part-1/

▼この動画を見た人びとがどんな感情を抱いたか?

左のグラフは、この動画を見た人びとがどんな感情を抱いたか?を示したものです。最も多いのが「温かさ」で59%、そして「しあわせ感」、「ノスタルジック(懐かしさ)」、「インスピレーション」と続きます。右のグラフは、人びとの心にもっとも響いた動画の一場面(1分1秒後あたり)で、迷いネコが妖精たちの魔法によって元の飼い主に戻るシーンです。このことから、「温かさ」や「しあわせ感」を伝える場面が、もっとも人びとの心に響いていることがわかります。

またこのキャンペーンでは、毎年クリスマスの広告に出演させるスターにかけるお金をSNSに投下する作戦に変更しています。マークス&スペンサー社の国際マーケティング部長・パトリック・ブスケ・シャバンニュ氏によれば、「この作戦は、消費者によるスマートフォンやタブレットの利用パワーを利用した、新しいキャンペーン促進法といえるだろう」とのこと。

▼クリスマス・キャンペーンのフォローは#followthefairiesで

たとえば、動画が仕上がる前の、各メイキング・シーンをSNS上で少しずつ発信する方法などは、人びとの好奇心をあおり、動画がどのように完成するのか?を自然とフォローさせ、キャンペーンを効果的に印象づける方法といえそうです。

各場面が撮影された場所や、撮影にはどのようなトリックが用いられたのか、などの実際の様子や情報がTwitterやFacebookなどで発信されるため、さりげなくキャンペーンのアピールが行なえるというわけです。社名を全面に押し出すのではなく、予告キャンペーンとして、人びとを誘導する効果的な方法ともいえるのではないでしょうか。人びとの心に訴えた2014年の動画は、社の売上げアップにも貢献しています。

今年は、動画に登場するオリジナルアイテムが主役

それでは、今年のキャンぺーンはどうでしょうか。2015年のテーマは「#TheArtOfChristmas」。今回の動画には、子供から大人までの多くの人や、沢山のアイテムが登場。「サプライズ(Surprise)」」の技法、「ごちそう(Feast)」の技法など、クリスマスを楽しむためのさまざまな技法(Art)が提案されています。

▼さて、今年のキャンペーンの特色は?

<参考:2015年のキャンぺーン動画>
https://www.youtube.com/watch?v=OrYZEepTQ5M

また、マークス&スペンサーのYoutubeチャンネルを見ると、今年のクリスマスに向けて多くの動画が投稿されています。たとえば、アパレル部門(男性、女性、子どもの各部門)、フード部門、コスメ部門など、各カテゴリ別に個々の動画が製作されていますが、これは各動画に登場するアイテムを、デジタル端末で繰り返し見ながらチェックできる効果が狙われているようです。オンラインでギフトを選んだり、パーティーメニューや飾り付けを考えたりする際に、インスピレーションを得るために効果を発揮するといえるでしょう。

▼カテゴリーごとにテーマに沿った動画を複数投稿
(M&S Youtube公式チャンネルの画面キャプチャー)

今年、マークス&スペンサー社が動画キャンペーンにかけた予算は、昨年の同社の動画キャンペーンの予算を5%ほど上回っているそうですが、いかなる宣伝及び購買効果を生むのでしょうか。

クリスマスは、家族や大切な人とすごす特別な時期でもあります。温かさと、しあわせ感を伝えた昨年の動画は、動画を観た人びとの購入意欲にはずみをつける引き金になったともいえるかもしれません。人びとが何に感動し、何を欲しているのかをイメージした上で動画を制作し、その動画をオンライン上やTVCMとして流し、さらに動画と連動してSNSを駆使したマーケティング施策を行えば、一石二鳥の効果アリ、といったところではないでしょうか。

▼今年のキャンペーン動画より

<関連サイト>
M&S Youtube公式チャンネル
https://www.youtube.com/user/marksandspencertv

text/K.Van.Willemskwartier

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